医療専門職の資格

医療専門職の資格

【臨床検査技師】
血液や尿から細菌やウイルスを検出したり、手術などで取り出した臓器を調べたりする検体検査と、心電図や脳波、超音波などの検査で診断に必要な身体のデータを採る生理学的検査を行うのが臨床検査技師の仕事です。かつては医師が行っていた臨床検査ですが、医療技術が高度化し、検査機器も発達したため、それを使いこなすスペシャリストが求められています。生活習慣病が増加する中、人間ドックなどでも大きな役割を果たすため、活躍の分野はますます広がるでしょう。


【診療放射線技師】
医師や歯科医師の指示に基づき、放射線検査・治療をする技術者です。エックス線、CT、MRI、超音波などの画像検査や放射線治療は、病気の診断や治療において重要な位置を占めるようになってきました。コンピュータを駆使するなど、最新の科学技術が取り入れられる医療の最先端分野だけに、常に技術・知識を高めていく意識が必要です。大規模病院での勤務が中心になりますが、医療機器メーカーでの研究開発なども活躍できるフィールドです。


【理学療法士】
病気や事故などで、身体に障害がある人の失われた機能を、運動や電気刺激、マッサージなどで回復させ、患者の社会復帰を促すリハビリテーションの専門家が理学療法士です。医師の指示のもと、医療スタッフと話し合いながら治療計画をたて、その人にあった治療を、患者の心の支えとなりながら行うことが必要とされます。主に病院や社会福祉施設、通所・訪問リハビリテーションなどで活躍していますが、中には専門性を生かして、スポーツチームに属している人もいます。


【作業療法士】
理学療法士が、運動やマッサージなどを通して身体機能を回復させていくのに対し、作業療法士は、日常作業で行う作業活動を用いて、訓練を行い、身体機能や精神機能を回復させていくサポートを行います。患者は身体障害がある人だったり、精神障害がある人だったり、症状は様々です。その人の趣味などを考慮し、手芸や工作、楽器などを利用し、その人に最も合った治療や訓練を粘り強く実施していく、人間性が評価される仕事です。


【言語聴覚士】
言葉は人間にとって大切なコミュニケーション手段のひとつです。この言葉と聴こえに障害のある人が、少しでも自分らしい生活を送れるよう、その機能を獲得、または回復させるサポートをするのが言語聴覚士の仕事です。難聴や、言語発達の遅れ、失語症、嚥下障害など、その障害の種類は様々で、まずその状態を検査によって明らかにし、必要に応じて、訓練・指導・援助を行います。今後は医療機関のみならず、福祉分野、教育分野でも活躍の場が広がっていくでしょう。


【臨床工学技士】
臨床工学技士は、人工透析装置や、人工心肺装置、また人工呼吸器などの生命維持管理装置を医師の指示のもとに操作し、また保守・点検までを行う医学的・工学的な知識をあわせ持つスペシャリストです。心臓手術の際に、心臓を止めて人工心肺装置を動かすには熟練した技術と、医師や看護師、その他の医療スタッフとの連携が必要です。活躍の場は、病院のみにとどまらず、医療機器メーカーでの開発など需要は高く、ますます必要とされていくでしょう。


【柔道整復師】
「接骨」や「ほねつぎ」と呼ばれる柔道整復師は、捻挫や骨折、打撲などの治療を行います。その治療は、柔術が根源であり、修行や鍛錬の場で起きるケガを治療する技術です。病院での治療との違いは、外科手術や薬を使わないで、手技により固定させるなどし、早期の回復を図ります。従来より地域で親しまれていますが、近年ではスポーツ選手からも注目されスポーツトレーナーとなったり、整形外科の新たな分野としても活躍の場所が開かれるなど、仕事の幅は広がっています。


【はり師・きゅう師】
東洋医学の考え方に基づいて、はりやきゅうを使った治療を行うのがはり師・きゅう師です。はり師は金属のはりで人体のツボに刺激を与えたり、きゅう師はもぐさで温めたりすることにより、身体の機能回復を図り、健康を保持・促進させて整えます。はり師ときゅう師は、別の国家資格ですが、同時に受験できることもあり両方をあわせ持つ人が多いようです。資格取得後は、鍼灸治療院などでの勤務のあと、独立開業をめざす人も多いのが特徴です。

保育士・薬剤師・管理栄養士

【保育士】
保育士は専門的知識と技術をもって、未就学児(0~6歳までの乳幼児)の保育をする、いわば子育ての専門家。子どもだけでなく、その保護者に対して保育の指導をすることもその役割のひとつです。保育士が働く場は保育所などの児童福祉施設だけでなく、企業内保育所やデパートなどの一時預かり所、ベビーシッターサービスなど民間企業でも増えています。また、かつては女性の多いイメージが強い職種でしたが、最近は男性の保育士も増え、保育の現場はますます活気づいています。


【薬剤師】
近年、薬剤師の活躍する場は広がっており、働く場所によって仕事の内容は異なっています。薬局・薬店では、医師の処方せんに基づき、調剤を行い、それを提供、服薬指導なども行います。一般用医薬品についてのアドバイスや販売も薬剤師の仕事です。病院では、入院患者に対する服薬指導や治験薬の管理なども行います。また、医薬品会社での研究開発や、行政機関で薬の承認審査や安全対策を行うことも薬剤師の仕事です。国がかかりつけ薬局・かかりつけ薬剤師を推進する中、地域における薬剤師の果たす役割は今後ますます高まるでしょう。


【管理栄養士】
栄養士の上級資格として、高度かつ複雑な栄養指導・栄養管理にあたる管理栄養士の活躍の場は多岐にわたっています。病院では患者の症状に応じた栄養指導の他、医師・看護師・薬剤師などが連携して栄養サポートを行う際は中心的役割も担います。高齢者向け施設では利用者の介護度に合わせた食事を提供し、保育園では子どもたちの食への関心を育むことも仕事の一つです。生活習慣病や食物アレルギーの増加も問題視されている現代社会において、ますます求められている人材といえます。